●2021年9月1日発行/専慶流いけばな眞樹会主宰・西阪慶眞
西阪慶眞/キササゲ

●花材/キササゲ、旭ハラン、菊
●花型/

  ●自然体に

 




ポイント


キササゲは中国原産、古くから日本でも栽
培され、果実は民間療法として利尿薬とし
て用いられた。
細長いサヤインゲンのような実が夏季に
出來、外皮は緑から次第に茶色に。20 セン
チ程度の実は下垂するがその表情がとて
もユーモラス。
その姿を上手く捉え、天、天添、人に。旭ハ
ランを地、見越、あしらいに優しい流れで
調和をはかり、長短前後の菊で引き締めを。

ここでは焼成温度の低い楽焼き花器を使
用。低い焼き物は柔らかで、温かみを感じ
る反面、壊れやすい。とくに作例のように
叉木を張ったいけ方では割れやすく、細心
の注意が必要。

水揚げ 水切り


●花材/野薔薇、彼岸花
●花器/ガラス容器


コ「花屋」から届く木々や草花を生けていると、どこか片手落ちのような感覚になったり、満足感が得られず、野山の自然素材に接したくなる。さらには、自分の手で育てたくなり、タネを蒔き、水をやり、芽が出れば畝に植え替え、日光が強ければ半日陰になるようネットを張り、害虫が発生すれば薬剤散布をしたり…、結構な作業に追われる。他の畑や庭園で綺麗な花を見つけると、畝の高さや苗の間隔など生育環境が気になり、注視するように。丁
寧に栽培されている植物は絞まってい
て、単純に「綺麗!」とまじまじと見入る。見とれる花は概して真っ直ぐに育ったものではなく、何故か茎が曲がったモノ。曲がりや変形には特異な表情、面白さを宿らせているからだ。
今季は実もの時期で、枝の表情だけでなく実の形や色彩の面白さも愉しみたい。

ポイント 彼岸花の花弁を美しく

水揚げ 水切り

   
専慶流/西阪慶眞

 
彼岸花

コロナ禍退散

「慣れ」。例えば、新年度を迎えた春先には、先ずは一日も
早く新たな環境、生活に慣れること…と使われるのをよく耳
にするのだが、様々な場面で慣れることで、緊張感からの解
放や心にゆとりを持ち新たなことに立ち向かえる…そんな
良い?意味で用いられている。
 しかし、極端な例だが、全てとは言わないがきれいに片付
けられていた家が、ゴミ屋敷と呼ばれる住居となって行く様
はどうだろう。少しずつ物が増え、一つくらいなら…、明日片
付けよう…が重なり、いつしか空間が埋め尽くされて行く、
その経過の中でいつしか生活に違和感を感じなくなり…。
「慣れ」は感覚を麻痺させてしまう物でもある。ましてや同調
者が居れば尚更であり、コロナ禍での本来は大変な生活の中
に居ながら、この「慣れ」の怖さを私達は何処かで忘れ、挙げ
句の果てに、いつしか、それが当然のことのように思い込み
で行動してしまってはいないだろうか。
 この場でも何度か触れてきたコロナ禍。「えっ、またぁ〜?
」と思われるかもしれないが、私自身溢れる情報に正誤より
も反射的に耳を塞ぎたくなることも確かにあり、出来れば避
けたいと云う思いも。ただ、8月に入ってからの感染者数の
激増は、何処かで予測していた思いでありながら、それでも
先行き見えない状況への移行が、何故?どうして?の思いが
強く…。改めて皆さんの認識はどのようなものだろうと問う
てみたくなり…。

 感染者急増、医療体制逼迫の状況、度重なる緊急事態宣言
の発令、国民誰もが渦中にいて共有しているはずの現実。し
かし、その受け止め方はそれぞれ…、自分は感染しない、羅ると思わない、周囲に感染者がいない、今更自分が注意したと
ころで、外出や食事を我慢なんて出来ないしする気もない、
政治家の姿勢が姿勢だから自分達だけ我慢なんて…等々。誰
が誰を守るためのものなのか。
 コロナ禍の中で一年遅れ等々異例尽くめでの実施となっ
た8月の東京五輪。実施に関しての賛否両論は開催前も開催
後もエスカレート。民主主義の社会、言論の自由…、自身の思
いを言葉にするのは何も問題ないが、ボランティア、選手
等々関わった人達への個人攻撃等々、目や耳に届く画面の向
こうにいる人たちの様々な思いに触れる、それぞれの意見へ
の同調者も常にいる。意見の賛否ではなく報道に載る時、そ
の言葉の力、影響力、発信する者の責任はどうか…と、思わず
にはいられなかった。自身の思いで声を挙げるのは個人の自
由だがその後の人としての行動、上記の「慣れ」も含め、改め
て私自身も人と関わりながら生きるひとりの人間としての
責任、自覚、行動を思い返してみた。一日も早いコロナ禍から
の解放を、これまでの日常を、思い願いながら。


            華道専慶流 西阪慶眞

 

#専慶流眞樹会 #専慶流いけばな教室 #西阪慶眞 #生け花教室 #体験レッスン受付中 #三山木駅歩5分 #京田辺市 #一休寺 #普賢寺 #花材/花ナス


慶眞のいけばな教室案内

専慶流真樹会本部/近鉄三山木駅西 TEL 0774-63-1785

専慶会館/京阪桃山駅東 TEL 075-612-2076


通信特別レッスン制度もあります。お問い合わせ下さい。

花模様  専慶流